映画 『007 カジノ・ロワイヤル』から、英語表現・英会話フレーズをピックアップ

2006年、新しくジェームズ・ボンド役にダニエル・クレイグが起用された第1作。
「007」シリーズ21作目となるこの映画では、殺しのライセンスを持つ “007” になるまでの人間としてのジェームズ・ボンドの物語が描かれています。彼のその後の人生を決定付ける過酷な任務と”運命の女性”とは?
「007」シリーズらしい気の利いた会話やボンドの愛の告白を英語でお楽しみください!
※ 内容には、実際の会話表現と一部ストーリーが含まれます。
見る前にストーリーを知りたくないという方は、注意してくださいね。
M: Or yourself. または自分をね
ボンドが大使館の敷地内でテロ組織に繋がる爆弾男を撃った映像がメディアに流れ、大きな騒ぎに。
彼のボスとしてその対応に追われるMにボンドが言った一言と、それに対するMの返し。
カメラよりも自分を撃ってしまいなさい、というMのきつい一言ですね。
Bond: It keeps things simple. 事が簡単だから
ある狙う男の妻に近づいたボンド。そんなボンドに対して女性がこう言うと、ボンドはこう答えます。
深くかかわりすぎて、complicated(複雑) になることがないからいい、ということなんでしょうね・・・。
その魅力で人妻もイチコロのボンドです。
ボンドと今回のボンドガール Vesper(ヴェスパー)が初めて顔を合わせる場面です。
財務省の代表としてボンドをバックアップする彼女は、このように自分を紹介しました。
私がそのお金、お金の出所であるということですね。
ちなみに今回のボンド・ガールは、フランスの女優さん。巨匠 ベルナルド・ベルッチ監督に「常軌を逸するほど美しい」と絶賛されたのも納得の美しさです。
ダニエル・クレイグと再共演する「His Dark Materials: The Golden Compass」(2007) も気になります!
ボンドとの一通りの話が話が終わると、料理を注文しようとするヴェスパー。
この一言は、日常会話で使えますね! ここでは、good(よさそう) = (おいしそう)という意味になりますが、他の場面でも使えますよ。

あなたはとても魅力的だけど、私はあなたの完璧な形をしたお尻じゃなくて私たちの政府のお金を見てるわ。
Bond: You noticed? 目が鋭いな
Vesper: Even accountants have imagination. 会計士にも想像力はあるの
ボンドと少し挑発的な会話をするヴェスパー。
keep my eye on…とは、「・・・を見ておく」という意味。“Please keep your eye on children.” (子どもたちを見ておいてね) なんていうふうにも使えます。
“arse”とは、けつ、お尻という意味の俗語。イギリスの表現で、アメリカでは”ass”と言います。
Vesper: Smart? 知的だから?
Bond: Single. 独身だから
ポーカーの大勝負が行われるモンテネグロのホテルに向かう途中の車の中でのボンドとヴェスパーの会話です。
ホテルのスイートに一緒に泊まるけれど寝室は別、という状況に「何か問題はある?」というヴェスパーに、ボンドはこう言います。”single”(独身)だからタイプじゃないなんて・・・ボンドは本当に人妻が好きなんでしょうね。
Vesper: Because of the bitter aftertaste? 後味が苦いから?
Bond: No. Because once you tasted it, that’s all you want to drink.
いいや。一度味を知ると、これしか飲みたくない
I thought that was quite a good line.
いいセリフだと思ったんだが
Vesper: It was a very good line. 殺し文句ね
ボンドの勝ちを祝っての2人のディナーでの会話です。
call A B で、「BをAと呼ぶ」という意味。英会話でとても重要な表現の1つです。ここでは、call that Vesper (それをヴェスパーと呼ぶ)ですね。that(それ)とは、ボンドが考え出した特別なマティーニのこと。作り方は、“Three measures Gordon’s, one of vodka, half a measure of Kina Lillet, shake it over ice, then add a thin slice of lemon peel.” ゴードン(ジンの種類)3にウォッカ1、キナ・リレ1/2、氷を入れてシェイクし、レモンピール(レモンの皮)の薄切りを加えたもの。
(※ このマティーニは、これにちなんで”Vesper Matini”(ヴェスパー・マティーニ)と呼ばれているそうです)
そして、ボンドの最高の口説き文句が披露されます。lineには、こういったセリフのひとくだり・一節という意味があります。
初めは自分のタイプではないと宣言していたヴェスパーに、ボンドは惹かれていくのです・・・
ポーカーでボンドに惨敗したル・シッフルとその一味は、ヴェスパーとボンドを拉致し、ボンドから口座の暗証番号を聞きだそうと拷問にかけます。
このセリフは、丸裸にされて椅子に縛られたボンドを拷問しようとするル・シッフルが言ったもの。
take care of は、「・・・の面倒を見る、・・・の手入れをする」という意味で、よく使われる表現です。
その体を拷問しようとするル・シッフルは、それが無駄だったと言っているのですね。
ル・シッフルから、男性の大事な所を打たれるという拷問を受けるボンド。
1回苦しんだ後にル・シッフルいうセリフがこれです!(笑)
Would you mind…?は、とても丁寧な頼み方の表現です。ここでは、かゆい所があると言った後なので、かいてくれる?というお願いですね。拷問されて苦しんでいるというのに、ボンドはすごいです・・・
それに怒ってさらにボンドのあそこを打つル・シッフルに、苦しみながらも“No!…To the right….Yes, yes, yes…”(違う!右だ・・・そう、そうだ、いいぞ)と答えるボンド。一体どんな体してるんでしょうか??
あなたは私をそこに入れてくれないんでしょ? あなたはまた甲冑を着けてしまった
Bond: I have no armor left. You’ve stripped it from me.
甲冑はもう着けてない。君に脱がされたWhatever is left of me…whatever I am…I’m yours.
残った僕は・・・今ここにいる僕は・・・君のものだ
危機を脱した2人の会話です。とっても素敵なラブシーン!
ヴェスパーの言う“let me in there”は、恋愛に関する表現でよく使われます。この”there”(そこ)とは、相手の内を指し、つまり自分をそばにおいてくれる? 自分を受け入れてくれる? と言っているんですね。
反対に、付き合っている相手に対して”You never let me in.”(あなたはちっとも私を近づけてくれない)と言ったりもします。
それに対してボンドも、自分がなんであれ、自分はヴェスパーのものだという告白をするんですね。
しかしボンドとヴェスパーを迎えた最後は、とても悲しいものでした。ヴェスパーがわざと携帯を残していったことをボンドが伝えた時にMが言った言葉です。
“She knew you were you.”彼女はあなたがあなただとわかっていた・・・あなたという人をよくわかっていた、という意味ですね。
Bond: No. ええ
M: Then you’ve learnt your lesson. それじゃあ、教訓を学んだわね
Mとジェームズの会話の会話の続きです。
“You don’t trust anyone, do you?”(誰も信用しないのね?) と聞かれると、日本語の感覚ではつい「はい」=Yes と答えたくなってしまいますが、英語では「信用しません」と言いたい場合、「しない」が否定形なのでNoと答えます。
こうしてボンドの最初の任務は終わり、007の道を歩み始めます・・・
