トランプ大統領の誕生後、世界はどうなる?-ハーバード大学教授による考察-
今月(2016年11月)、世界に大きな衝撃を与えたトランプ候補の大統領選勝利。その過激な発言は選挙前から国内外を騒がせてきましたが、実際のトランプ次期大統領の誕生はアメリカ国内でも驚きだけではなく混乱を引き起こし、反対デモも起こっています。
トランプ大統領の誕生後、アメリカはどう変わっていくのか?ハーバード大学の教授たちが、大統領の政治への選挙の影響や、トランプの大統領就任が外交・移民政策から経済・最高裁の領域まで、どのように国家を変えようとしているのかを語りました。
[出典] Harvard Gazetteの記事より抜粋
A BLOW TO BOTH PARTIES’ ELITES
両党のエリートたちへの一撃
トランプの勝利はショッキングだった。しかし驚きではなかった。これは、両党のエリートたちが国を混乱させている不満を持つ者たちを理解することに失敗したことを表わしている。それは、拡大する格差、銀行の救済、トップにいるものが得をするが力を奪われたと感じる普通の人々を置き去りにしたと言えるグローバリゼーションの20年間への怒りの判決なのだ。
It is a humbling moment for elites in both parties, for big-data prognosticators, and for a technocratic approach to politics that is tone-deaf to the resentments of people who feel the economy and the culture have left them behind.
これは、両党のエリートたち、ビッグデータの預言者たち、そして経済や文化に置き去りにされたと感じる国民の憤りに対して感覚の鈍い、技術的な政治アプローチにとって、屈辱的な瞬間である。
1人目は日本でも知名度の高いマイケル・サンデル教授。今回の大統領選は国民から嫌われている両候補の対決の中、結果的には共和党内でも嫌われたトランプ氏の勝利でした。これは両党の代表(エリートたち)と普通の国民たちとの距離が大きく離れてしまっていることを表わしていると言えそうです。
SOME RESHAPING OF THE ECONOMY
いくつかの経済の再形成
醜い選挙だった。そして私たちの多くは未だに傷つきショック状態にある。しかしながら私を心配させるのは経済ではない。実際、アメリカの成長はかなり健全で、近い将来の不況の可能性はとりわけ高くない。実に、両院を制する共和党を伴って、トランプはおそらく新たなインフラ支出(良いアイデア)や減税(議論の余地があるアイデア)ーそれでもなお短期成長を促進させるーを通過させることができるだろう。
In the long run, one can only hope that the Republican Congress blocks Trump from following through with his campaign pledges on international trade agreements, which will hurt growth and lead to a big rise in the cost of living for poor and lower-middle income families.
長い目では、共和党議会がトランプが国際貿易協定に関する選挙誓約ーそれは成長を妨げ貧困層や低中所得世帯の生活費の大幅な上昇を招くーに従うのを阻むことを望むしかない。
まず大きな注目が集まっているのが経済政策-今後のアメリカ経済はどうなるのか-。選挙直後は相場が下落し「トランプショック」と言われましたが、その後は次期トランプ大統領による経済政策への期待から、株高・米ドル高が進んでいます。今回の選挙では、グローバリゼーションで中国などに仕事を取られた白人労働者が”Make America Great Again”と唱えたトランプ支持にまわりました。すべての労働者が利益を得るグローバリゼーションは実現できるのか?トランプ大統領にとって難しい課題の一つになりそうですね。