ジョージ・フロイドさんの追悼式から英語をピックアップ~#BlackLivesMatter 黒人への人種差別に対する抗議活動から英語を学ぶ

2020年5月にアメリカのミネソタ州ミネアポリスで起こった、白人警官による黒人男性暴行死事件をきっかけに、全米で黒人に対する人種差別への抗議活動(ブラック・ライブズ・マター運動)が起こっています。このページでは、6月4日に行われた、被害者男性ジョージ・フロイドさんの追悼式で語られた言葉から英語表現を紹介し、解説します。

白人警官に首を圧迫されて死亡した黒人男性ジョージ・フロイドさん(享年46)の追悼式では、家族の他、家族側の弁護士や、公民権運動の黒人活動家アル・シャープトン師が演説を行いました。

It was not the coronavirus pandemic that killed George Floyd. I want to make it clear on the record. (中略) It was that other pandemic that we’re far too familiar with in America, that pandemic of racism and discrimination that killed George Floyd.

ジョージ・フロイドを殺したのはコロナウイルスのパンデミックではありません。私はそのことを公にはっきりと言いたい。(中略)他の種類のパンデミック、私たちがアメリカでよく知り過ぎている、人種差別というパンデミックが、ジョージ・フロイドを殺したのです。

まず紹介するのが、フロイドさんの遺族の弁護を務める弁護士のベンジャミン・クランプ(Banjamin Crump)氏の言葉です。この追悼式もコロナウイルス感染予防のためソーシャルディスタンスを取り、スケジュールを守って行われたようですが、クランプ氏はこの“pandmic”(パンデミック、広域でまん延する深刻な感染病)という単語を使って「人種差別というアメリカにまん延する病気がジョージ・フロイドを死に追いやった」と訴えました。
“I want to make it clear” は直訳すると「それを明らかにしたい」つまり「はっきり言いたい」という意味でよく使われる表現です。“on the record”は「記録上で、記録に残す形で」という意味で、これと反対なのが “off the record”で「オフレコで、記録に残さない形で」という表現です。“racism” は「人種差別、人種差別主義」という意味で、差別の概念や考え方を表わす単語で、“discrimination” は人種に限らず、行為としての差別を表わす単語です。「~に対する差別」は“discrimination against ~”と言います。

George Floyd’s story has been the story of black folks. Because ever since 401 years ago, the reason we could never be who we wanted and dreamed to be is you kept your knee on our neck.

ジョージ・フロイドの物語はこれまでの黒人たちの物語なのです。なぜなら401年前から、私たちが望み、夢見た姿に決してなれないのは、あなたたちが膝で私たちの首を押さえ続けているからなのです。

一文目は、ジョージ・フロイドの物語、つまり不当な差別と暴力によって命を落とすことは、彼だけでなくこれまでの黒人たちに共通してきたことだと、現在完了文の文法を使って述べています。
“you kept your knee on our neck” は直訳すると「あなたたち(黒人を差別してきた白人たち)が膝で私たち(黒人たち)の首を押さえ続けた」という意味で、これはまさにジョージ・フロイドさんが白人警官から受けた暴力行為そのものです。アル師は表現としてこの事件の行為を使いながら、長年黒人が白人によって力で押さえつけられ、抑圧され、不当な扱いを受けてきたという構図を言い表しており、演説のこの場面では多くの賛同の歓声と拍手が送られていました。また、この401年前というのは、アフリカから最初の黒人奴隷が連れて来られた年を表わしています。

What happened to Floyd happens every day in this country in education, in health services and in every area of American life. It’s time for us to stand up in George’s name and say, “Get your knee off our necks.”

フロイドに起こったことは、この国で毎日起こっているのです。教育や、医療や、アメリカ人の生活のあらゆる場面で。今、私たちはジョージの名のもとに立ち上がり、こう言う時なのです。「私たちの首からあなたたちの膝をどけろ」と。

アル師は続いて、黒人に対する人種差別は現在のアメリカのあらゆる場面で見られると語っています。ここで教育と医療という分野を出したのは、本来特にこういった分野では差別なく全員が平等な扱いを受けるべきであると同時に、アメリカ社会の中では大きな格差が生じている分野だからです。
“It’s time for A(人) to …(動詞)” で「Aが~する/すべき時だ」という意味の表現になります。「私たちの首からあなたたちの膝をどけろ」つまり「人種差別は止めろ」と声をあげる時だと訴えました。

Time is out for you making excuses. Time is out for you trying to stall. Time is out for empty words and empty promises. Time is out for you filibustering and trying to stall the arm of justice. This is the time we won’t stop. We going to keep going until we change the whole system of justice.

あなたたちが言い訳をする時間は終わりです。あなたたちが引き延ばす時間は終わりです。空虚な言葉や空約束の時間は終わりです。正義の力を妨害したり、失速させたりする時間は終わりです。今回は私たちは止まりません。私たちは司法制度全体を変えるまで進み続けます。

“Time is out” 「時間は終わりです」という表現を使った、これまでの黒人に対する差別をそのままにしてきた時間は終わりであり、今回は変化を起こすまで行動し続けるというメッセージです。これは2018年にハリウッドで始まった女性へのセクシャルハラスメントに対する抗議運動で使われた “Time is up / Time’s up” と同じ意味で使われています。

追悼式で行われた全スピーチの原文はこちらから(音声付)。

全米のみならず世界各地にも広がりを見せている、この人種差別に対する抗議活動。この白人警官による暴行致死事件は明らかに目に見える形での差別でしたが、差別や偏見には目に見えにくいものも多く、何らかの形での差別や偏見は日本で暮らす私たちの見の周りにも起こっていることだと思います。
私がこのVOGUEの記事を読んで思ったのは、本当に社会の差別撤廃のために個人として行動をしたいなら、それは「BLM」「blacklivesmatter」「Blackout Tuesday」などのハッシュタグを使ってインスタグラムやツイッターといったSNSで投稿をすることではなく、自分の内にある差別意識や社会に潜む差別にきちんと意識や関心を向けることの方が意味があるということ。そして、自分が差別をしないようにすると同時に、自分ではない誰かに対する差別を目撃した時にそれを止める声をあげること。それはSNSのように目に見えるものではないし、誰かから「いいね」をもらえるものでもないけれど、そういった個人の意識と行動こそが、差別をなくしていくのだと思います。

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