映画 『マネーボール』から、英語表現・英会話フレーズをピックアップ
ノンフィクション書籍 「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」 を原作として、危機に瀕したアメリカの野球チーム、オークランド・アスレチックスをこれまでにない手法で見事に再建するGM(ゼネラル・マネージャー)をブラッド・ピットが演じました。
オークランドアスレチックスのGM ビリー・ビーンは、低予算にあえぐ中なんとか強いチームを作ろうとしていました。そんな中、イエール大学卒業のスタッフ、ピーター・ブランドの独自の理論と評価手法に興味を持ち、2人はこれまでどの球団も試したことがない方法でチームを改革しようとしますが、これまでのスタッフや監督からの反発は大きいものでした。
体育会系の男っぽい英語表現が多いのが特徴ですが、日常会話も多く、学習教材として使えます。交渉時の表現などもチェックしてみてください。
※ 内容には、実際の会話表現と一部ストーリーが含まれます。
見る前にストーリーを知りたくないという方は、注意してくださいね。
昨シーズン活躍していた主力選手がFA移籍で抜けてしまった後、スカウトチームはその穴を誰で埋めるか話し合いをしていましたが、そこでGMのビリーは独自の理論に基づいてスカウトする選手を発表します。その案に反対するスカウトチームを前に、彼が宣言したのがこのセリフです。
直訳すると、「これは議論ではない」となりますが、議論ではない、つまり決定したことだ、という意味になります。「ここで議論の必要はない」「ここに議論の余地はない」と言いたい時に使うとよい英語表現です。あなたの決めたことに対してごちゃごちゃ言う人がいた時、使ってみるといいでしょう。
ビリーとピーターが理論の基に作ったチームでしたが、シーズンが始まってもうまく機能せず、連敗が続きます。そんな中、チームのオーナーにビリーが言ったのがこの一言。
“believe in A” で「A(の正当性、の存在)を信じる」という意味で、よく使われる表現です。ここでは、what we’re doing (自分たちがやっていること)=理論に基づいた野球の正当性を信じている、という意味になります。
他に、”I believe in you.” 「あなたのことを信頼している」もよく使われる表現です。
ビリーとブランドの野球論に反対しているチームの監督は、実際のゲームで2人が言うように選手を起用しません。何度目かにそのことで監督に話に行ったビリーに対して、監督ははっきりとこう言います。
“I disagree with you.” は「私はあなたに反対する」という意味で、付け加えられた “plain and simple” は「単純明白な、簡単明瞭な」という意味で、ここでは、私は単純明白にあなたに反対している、という意味になります。
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自覚はないだろうが君らは優勝する その気でやれ
監督を説得できないビリーはついに、監督がいつも代わりに起用する選手をトレードさせるという手に出ます。ビリーが自分の理論を信じて大きな賭けに出た瞬間でした。その後、彼はこれまで避けていた選手の控室を訪れ、こうスピーチします。彼の強い決意が表れた瞬間でした。
文の中で2回出てくる one は、その前にある winning team(優勝チーム)を指しています。同じ名詞の繰り返しを避けて、one に置き換えているパターンです。直訳すると、「君たちは優勝チームのように見えないかもしれない・・・でも君たちは優勝チームだ。だから・・・優勝チームのようにプレイしろ」となりますね。
“あなたよくやってる”って言いたかったの とても立派だわ
Billy: I appreciate it, Sharon. Thank you. 嬉しいよ ありがとう
Sharon: Good luck. 頑張って
ついにチームがうまく機能し、歴史的な20連勝を目前にした時、ビリーに電話をかけてきた元妻のシャロンとの会話です。日常会話の決まり文句が満載の会話になっています。
“I just wanted to say …” は、「・・・とだけ言いたかったの」と言う時に使う文頭表現。”I’m really proud of you.” は「私はあなたのことを本当に誇りに思う」という意味で、「誇りに思う」というと日本語ではかなり大げさな響きですが、英語ではかなりよく使われる表現です。ビリーの一言目、”I appreciate it.” は、appreciate が「感謝する」という意味で、「ありがとう」のよりフォーマルな言い方です。”Thank you.” よりもフォーマルに、固い言い方をしたい時は、この “I appreciate it.” を使ってみましょう。最後の “Good luck.” は、「幸運を」という意味ですが、日本語でいうと「頑張って」と言うのに近い表現です。
だが我々がこの予算で勝てば 世界が変わる それが望みだ
歴史的な20連勝を挙げた後も、ビリーには浮かれた様子はありません。そんなことには意味がない、とブランドに言った後のセリフがこちら。最後の優勝決定戦に勝つことこそが目標なのだと語っています。
直訳すると、「もし我々が、この予算で、このチームで勝てば・・・我々はゲームを変えるだろう。それが僕の望むものだ」。このゲームとは、野球界におけるゲームのあり方を指していて、つまり野球界という世界を変えるとビリーは言っています。
さて、ビリーの改革の結末はいかに・・・!?
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