バンクシーのインスタグラムから英語をピックアップ~#BlackLivesMatter 黒人への人種差別に対する抗議活動から英語を学ぶ

バンクシーの6月6日のインスタグラムの投稿

2020年5月にアメリカのミネソタ州ミネアポリスで起こった、白人警官による黒人男性暴行死事件をきっかけに、黒人に対する人種差別への抗議活動(ブラック・ライブズ・マター運動)は全米、さらには世界各地に広がっています。このページでは、これまでも芸術作品を通じて社会的なメッセージを発信してきたアーティストのバンクシーが6月6日にインスタグラムに投稿した文章から英語表現を紹介し、解説します。

At first I thought I should just shut up and listen to black people about this issue.

初めは、この問題については私はただ黙って、黒人の人たちに耳を傾けるべきだと思った。

But why would I do that?
It’s not their problem. It’s mine.

でも、なぜ私はそうするのだろう?
それは彼らの問題ではない。私の問題だ。


People of color are being failed by the system. The white system. Like a broken pipe flooding the apartment of the people living downstairs. This faulty system is making their life a misery, but it’s not their job to fix it. They can’t – no-one will let them in the apartment upstairs.

有色人種の人々は制度に見捨てられている。白人の制度に。壊れた水道管がアパートの下の階に住む人々の部屋を水浸しにするように。この欠陥のある制度は彼らの生活を悲惨なものにしているが、それを直すのは彼らの仕事ではない。彼らには直せないー誰もアパートの上の階に彼らを入れようといないのだから。

This is a white problem. And if white people don’t fix it, someone will have to come upstairs and kick the door in.

これは白人の問題だ。そして白人がそれを直さないのならば、誰かが上の階に来てドアを蹴破らなくてはならないだろう。

バンクシーは自らのInstagramに2020年6月6日にあげた投稿で、新作の絵とメッセージを発表しました。これはそのメッセージの原文全文です。このバンクシーの文章では、黒人に対する人種差別という問題の当事者は誰なのか、ということを問いかけています。
文章にある通り、“this issue” は「この問題」つまり「黒人に対する人種差別という問題」については、差別を受けている黒人の問題なのだから、それについて白人の自分は口をつぐみ、黒人が言うことを聞くべきだと思った、とバンクシーは言っています。しかし次の段落で、この問題は黒人の問題なのではなく、私(白人)の問題なのだと述べています。“But why would I do that?” は「でも、なぜ私はそうするのだろう?」と訳しましたが、この“would” には「~しようとする、~したいと思う、(まだしていないが、仮に)~する」といった意味が込められています。
次の段落からは、なぜ黒人に対する人種差別が黒人側ではなく白人側の問題なのかということを、壊れた水道管と水浸しの部屋を例えにして説明しています。このアパートの水道管が壊れて下の階が水浸しになるというのは日本ではまず聞くことがありませんが、アメリカやイギリスなど海外ではわりと発生する出来事です。壊れた水道管に例えられた“faulty system”「欠陥のある制度/システム」は、黒人に対する人種差別という欠陥を持った社会制度/システムを表わしており、その制度を直すべき、また直せるのは制度を作った白人側だとバンクシーは言っているんですね。
“people of color” は「有色人種」という意味で、白人以外の人種を指す表現です。黒人はblack、私たち日本人・アジア人はyellow、メキシコなどのヒスパニック系やbrownという有色人種ですね。昔のアメリカでは黒人以外の有色人種があまりいなかったので、“colored”という形容詞は「黒人の」という意味で使われていました。
最後の段落でバンクシーは、“This is a white problem.”「これは白人の問題だ」と明確に書いた上で、この問題を白人自ら解決しないのであれば、誰かがドアを蹴破らなくてはならないだろう、という強い表現で、問題への危機意識を高めているように感じられます。

バンクシーはイギリス在住とされていますが、その素性は謎に包まれた匿名のアーティスト(路上芸術家)です。世界的に著名な彼が、作品だけでなく言葉でこのようなメッセージを出したことも、この今日の抗議活動において、大きな意味を持つのではないかと考えさせられました。

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