オバマ大統領の広島での演説 ~英語全文・日本語訳・解説~
2016年5月27日にオバマ大統領が広島を訪問した際のスピーチ全文、日本語訳、解説を紹介します。
現職のアメリカ大統領としての初めての被爆地・広島の訪問は大きな注目を集めました。この年に任期最後の8年目を迎えている大統領の「オバマ外交」のハイライトの1つとなりました。(※ちなみにアメリカ大統領はいつも任期最後の年は国内よりも外交政策に力を入れる傾向があります。)
この17分間におよぶオバマ大統領の演説ですが、訪問前から注目されたアメリカから日本への「謝罪」めいた表現はなく、人類太古からの戦争の歴史を振り返り、今後の「核兵器廃絶」を目指そうという全世界に向けてのメッセージとなっています。
上の映像の再生ボタンを押して、スピーチを聞きながら、下の英語の原文、日本語による訳と解説をお読みください
71年前、ある晴れた雲一つない朝、死が空から落ち、世界が変わりました。一つの閃光と火の海が街を破壊し、人類が自らを破壊する手段を手に入れたことがはっきりと示されたのです。
Why do we come to this place, to Hiroshima? We come to ponder a terrible force unleashed in a not so distant past. We come to mourn the dead, including over 100,000 in Japanese men, women and children; thousands of Koreans; a dozen Americans held prisoner.*2 Their souls speak to us. They ask us to look inward, to take stock of who we are and what we might become.
なぜ私たちはこの地、広島を訪れるのでしょう。私たちは、そう遠くない過去に恐ろしい力が放たれたことについて深く考えるために訪れます。10万人以上の日本人男性、女性、子供たち、何千人もの韓国人、そして12人の捕えられていたアメリカ人捕虜を含む死者を悼むために訪れるのです。彼らの魂は私たちに話しかけます。自らの内に向き合い、私たちが誰で、今後どうなるかをよく考えるようにと言います。
It is not the fact of war that sets Hiroshima apart. Artifacts tell us that violent conflict appeared with the very first man. Our early ancestors, having learned to make blades from flint and spears from wood, used these tools not just for hunting, but against their own kind. On every continent, the history of civilization is filled with war, whether driven by scarcity of grain or hunger for gold; compelled by nationalist fervor or religious zeal. Empires have risen and fallen. Peoples have been subjugated and liberated. And at each juncture, innocents have suffered, a countless toll, their names forgotten by time.
広島を特別な存在としているのは戦争の事実ではありません。古代人造物は、暴力的対立がまさに初期の人間と共に現れたことを私たちに伝えます。火打ち石からナイフを、木から槍を作ることを学んだ私たちの先祖は、これらの道具を狩りのためだけではなく同じ種族に対しても使いました。すべての大陸で、穀物不足または金への欲望によって引き起こされたかにかかわらず、国粋主義熱または宗教熱に動かされたかにかかわらず、文明の歴史は戦争で埋めつくされています。帝国は興っては滅び、人々は従属させられては解放されてきました。そしてその節目節目で、無実の人たちが苦しみ、数え切れないほどの犠牲者の名前は時間と共に忘れられました。
The World War that reached its brutal end in Hiroshima and Nagasaki was fought among the wealthiest and most powerful of nations. Their civilizations had given the world great cities and magnificent art. Their thinkers had advanced ideas of justice and harmony and truth. And yet, the war grew out of the same base instinct for domination or conquest that had caused conflicts among the simplest tribes; an old pattern amplified by new capabilities and without new constraints. In the span of a few years, some 60 million people would die — men, women, children no different than us, shot, beaten, marched, bombed, jailed, starved, gassed to death.
広島と長崎で残酷な終わりに達した第2次世界大戦は、最も豊かで強い国同士で争われました。それらの国の文明は偉大な都市や素晴らしい芸術を世界にもたらしました。それらの国の思想家は正義、調和、真実の考えを発展させました。しかし、最も単純な部族間の対立を引き起こしてきた支配または征服への同じ基本的本能から、戦争は生まれました。古いパターンは新たな力に対して新たな抑制力の欠如により増幅されました。数年の期間の間に、6000万人もの人々が亡くなりましたー私たちと変わらない男性、女性、子どもたちが撃たれ、殴られ、連行され、爆撃され、投獄され、飢え、毒ガスを浴び、亡くなったのです。
There are many sites around the world that chronicle this war — memorials that tell stories of courage and heroism; graves and empty camps*3 that echo of unspeakable depravity. Yet in the image of a mushroom cloud that rose into these skies, we are most starkly reminded of humanity’s core contradiction; how the very spark that marks us as a species — our thoughts, our imagination, our language, our tool-making, our ability to set ourselves apart from nature and bend it to our will — those very things also give us the capacity for unmatched destruction.
世界中にはこの戦争を記録する場所ー勇気や勇敢さの物語を語る記念館や、言い表せないほどの悪行がこだまする墓所や収容所ーがあります。しかしこの空に立ち上がったキノコ雲の情景の中で、私たちは人間の根源的な矛盾を最も強く思い出させられます。私たち人間を種として際立たせるまさにそのしるしー私たちの思考、想像、言語、道具製作、自然から自らを切り離し、自然を自分たちの意に曲げる能力ーがまた、私たちに比類なき破壊力を与えるのです。
(>下に続く)
<< 解説 >>
- このスピーチの冒頭にある原爆投下を描写する表現ですが、「アメリカが原爆を投下した」という主体ある事実をかなりぼかしたものになっています。これは後日被爆者の方の批判にも挙がっていたようですね。
- 原爆の被害者として、日本人だけでなく当時広島にいた韓国人や捕虜のアメリカ人の存在にも触れました。
- 戦争の悲惨さを現在に伝える有名な戦争中の収容所として、アウシュヴィッツ収容所があります。
物質的な進歩や社会的な変革が、どれほど頻繁に私たちからこの真実を見えなくしているでしょう。どれほど簡単に私たちは何かの高い目的の名の下に暴力を正当化することを覚えているでしょう。すべての偉大な宗教は愛、平和、公正への道を約束しますが、その信仰を殺しのライセンスとして掲げる信者を免れてきたものは一つもありません。国は、共に犠牲を払い協力するように人々を束ねる物語を語り、興ります。しかしその同じ物語は、異なる者を抑圧し非人間化するためにもしばしば使われてきました。
Science allows us to communicate across the seas and fly above the clouds; to cure disease and understand the cosmos. But those same discoveries can be turned into ever-more efficient killing machines.
科学のおかげで私たちは、海を越えてコミュニケーションをとることや、雲の上を飛ぶこと、病を治し宇宙を理解することができます。しかしまさにその同じ発見は、これまで以上に効率のよい殺人マシーンへと姿を変え得るのです。
The wars of the modern age teach this truth. Hiroshima teaches this truth. Technological progress without an equivalent progress in human institutions can doom us. The scientific revolution that led to the splitting of an atom requires a moral revolution, as well.
現代の戦争の数々がこの真実を教えます。広島がこの真実を教えます。人間社会における同等の進歩を伴わない技術の進歩は私たちを破滅へと向かわせうるのです。原子の分裂へと導いた科学的革命は、道徳の革命もまた必要とするのです。
That is why we come to this place. We stand here, in the middle of this city, and force ourselves to imagine the moment the bomb fell. We force ourselves to feel the dread of children confused by what they see. We listen to a silent cry. We remember all the innocents killed across the arc of that terrible war, and the wars that came before, and the wars that would follow.
それが私たちがこの地を訪れる理由なのです。私たちはここ、この街の中心に立ち、原爆が落ちた瞬間を想像しようと努めます。私たちは目にした光景に混乱した子どもたちの恐怖を感じようと努めます。私たちは声なき泣き声に耳をすまします。私たちはあの恐ろしい戦争、その前にあった戦争、そしてそれに続く戦争すべてで殺されたすべての無実の人々を偲びます。
Mere words cannot give voice to such suffering, but we have a shared responsibility to look directly into the eye of history and ask what we must do differently to curb such suffering again. Someday the voices of the hibakusha will no longer be with us to bear witness. But the memory of the morning of August 6th, 1945 must never fade. That memory allows us to fight complacency. It fuels our moral imagination. It allows us to change.
単なる言葉ではそのような苦しみを言い表すことはできませんが、私たちには歴史の目を真っ直ぐに見つめ、そのような苦しみを阻止するために何を違うやり方でしなければならないのかを問う共通の責任があります。いつか証言する被爆者の声は私たちのもとからいなくなってしまうでしょう。しかし、1945年8月6日の朝のあの記憶を決して薄れさせてはいけません。その記憶は、私たちを油断と闘わせてくれます。その記憶は私たちの道徳的な想像をかき立てます。その記憶は私たちを変わらせてくれるのです。
And since that fateful day, we have made choices that give us hope. The United States and Japan*5 forged not only an alliance, but a friendship that has won far more for our people than we could ever claim through war. The nations of Europe built a Union that replaced battlefields with bonds of commerce and democracy. Oppressed peoples and nations won liberation. An international community established institutions and treaties that worked to avoid war and aspire to restrict and roll back, and ultimately eliminate the existence of nuclear weapons*6.
そしてあの重大な日から、私たちは自らに希望を与える選択をしてきました。アメリカ合衆国と日本は同盟を築いただけでなく、戦争が奪ったよりもはるかに多くの人たちの友情を得ました。ヨーロッパの国々は戦場を商業や民主主義の結び付きに置き換える連盟を築きました。抑圧されていた人々や国々は解放を勝ち取りました。国際的なコミュニティーは、戦争を防ぐと共に、核兵器を制限し、縮小し、そして最終的にはその存在を撲滅させることを願うための機関や条約を作りました。
Still, every act of aggression between nations; every act of terror and corruption and cruelty and oppression that we see around the world shows our work is never done. We may not be able to eliminate man’s capacity to do evil, so nations –- and the alliances that we’ve formed -– must possess the means to defend ourselves. But among those nations like my own that hold nuclear stockpiles, we must have the courage to escape the logic of fear, and pursue a world without them.
しかし、私たちが世界中で目にする国家間の攻撃行為、テロや不正行為、残酷で抑圧的な行為のすべては、私たちの仕事が決して終わっていないことを示しています。私たちが人間の悪事を成す力を取り除くことができないかもしれないため、国や、私たちが作った同盟国は、自らを守る手段を持たなければなりません。しかし私自身のような核保有国たちの間では、恐怖の論理から脱却し、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならないのです。
We may not realize this goal in my lifetime. But persistent effort can roll back the possibility of catastrophe. We can chart a course that leads to the destruction of these stockpiles. We can stop the spread to new nations, and secure deadly materials from fanatics.
私たちが生きている間にはこの目標を実現することができないかもしれません。しかし粘り強い努力は大惨事の可能性を後退させることができます。私たちはこれらの核兵器の破壊へと繋がる道を示すことができます。私たちは新しい国への拡散を防止し、致命的な物質を狂信者から守るわことができるのです。
And yet that is not enough. For we see around the world today how even the crudest rifles and barrel bombs can serve up violence on a terrible scale.*7 We must change our mindset about war itself –- to prevent conflict through diplomacy, and strive to end conflicts after they’ve begun; to see our growing interdependence as a cause for peaceful cooperation and not violent competition; to define our nations not by our capacity to destroy, but by what we build.
それでもこれで十分ではありません。なぜなら私たちは今日の世界で、粗雑なライフル銃やたる型の爆弾でさえ恐ろしい規模での暴力をもたらすことができることを目にするからです。私たちは、戦争そのものに対する考え方を変えなくてはなりません。外交を通じて対立を防ぎ、そして発生した後は終わらせるために努力し、私たちの相互依存の高まりを暴力的な対立ではなく平和的な協調のための理由とみなし、私たちの国を破壊する力ではなく築いたものによって定義するために。
And perhaps above all, we must reimagine our connection to one another as members of one human race. For this, too, is what makes our species unique. We’re not bound by genetic code to repeat the mistakes of the past. We can learn. We can choose. We can tell our children a different story –- one that describes a common humanity; one that makes war less likely and cruelty less easily accepted.
そしておそらく何よりも、私たちは同じ人類の一員としてのお互いのつながりを再想像しなくてはなりません。これもまた、私たちを特異な種族として特徴づけるものです。私たちは遺伝子情報によって過去の過ちを繰り返すよう運命づけられているのではないのです。私たちは学ぶことができます。私たちは選択することができます。私たちは自分の子供たちに別の物語ー共通の人間性を表す物語、戦争が起こりにくく残酷さが簡単に受け入れられにくい物語を語ることができるのです。
We see these stories in the hibakusha –- the woman who forgave a pilot who flew the plane that dropped the atomic bomb, because she recognized that what she really hated was war itself; the man who sought out families of Americans killed here, because he believed their loss was equal to his own.
私たちはこれらの物語を被爆者たちの物語に見ることができます。彼女が本当に憎んだのは戦争そのものだということに気づき、原子爆弾を落とした飛行機を操縦していたパイロットを許した女性、彼自身の喪失と同じだと信じ、ここで殺されたアメリカ人たちの家族を捜し出した男性の物語に。
(>下に続く)
<< 解説 >>
- 昔から戦争の原因となっている宗教についてここでも触れています。今の世界において最大の暴力行為を引き起こしているISにも、背後にはイスラム原理主義という宗教があり、宗教と紛争は切っても切り離せない関係にあります。
- ここで初めて出てきたアメリカと日本という二国の名前ですが、戦後の同盟関係を表わす文脈で使われました。
- この核兵器廃絶は、オバマ大統領が就任1年目から訴えたものです。2009年4月5日のプラハ演説では具体的な目標が示され、翌年にはロシアとの間で核弾頭数を制限する条約を調印しました。
- 現在の世界で私たちに恐怖を与えている多くのテロ行為は、核攻撃ではなく、単純な銃や爆弾によるものであることを示しています。
物質的な進歩や社会的な変革が、どれほど頻繁に私たちからこの真実を見えなくしているでしょう。どれほど簡単に私たちは何かの高い目的の名の下に暴力を正当化することを覚えているでしょう。すべての偉大な宗教は愛、平和、公正への道を約束しますが、その信仰を殺しのライセンスとして掲げる信者を免れてきたものは一つもありません。国は、共に犠牲を払い協力するように人々を束ねる物語を語り、興ります。しかしその同じ物語は、異なる者を抑圧し非人間化するためにもしばしば使われてきました。
Science allows us to communicate across the seas and fly above the clouds; to cure disease and understand the cosmos. But those same discoveries can be turned into ever-more efficient killing machines.
科学のおかげで私たちは、海を越えてコミュニケーションをとることや、雲の上を飛ぶこと、病を治し宇宙を理解することができます。しかしまさにその同じ発見は、これまで以上に効率のよい殺人マシーンへと姿を変え得るのです。
The wars of the modern age teach this truth. Hiroshima teaches this truth. Technological progress without an equivalent progress in human institutions can doom us. The scientific revolution that led to the splitting of an atom requires a moral revolution, as well.
現代の戦争の数々がこの真実を教えます。広島がこの真実を教えます。人間社会における同等の進歩を伴わない技術の進歩は私たちを破滅へと向かわせうるのです。原子の分裂へと導いた科学的革命は、道徳の革命もまた必要とするのです。
That is why we come to this place. We stand here, in the middle of this city, and force ourselves to imagine the moment the bomb fell. We force ourselves to feel the dread of children confused by what they see. We listen to a silent cry. We remember all the innocents killed across the arc of that terrible war, and the wars that came before, and the wars that would follow.
それが私たちがこの地を訪れる理由なのです。私たちはここ、この街の中心に立ち、原爆が落ちた瞬間を想像しようと努めます。私たちは目にした光景に混乱した子どもたちの恐怖を感じようと努めます。私たちは声なき泣き声に耳をすまします。私たちはあの恐ろしい戦争、その前にあった戦争、そしてそれに続く戦争すべてで殺されたすべての無実の人々を偲びます。
Mere words cannot give voice to such suffering, but we have a shared responsibility to look directly into the eye of history and ask what we must do differently to curb such suffering again. Someday the voices of the hibakusha will no longer be with us to bear witness. But the memory of the morning of August 6th, 1945 must never fade. That memory allows us to fight complacency. It fuels our moral imagination. It allows us to change.
単なる言葉ではそのような苦しみを言い表すことはできませんが、私たちには歴史の目を真っ直ぐに見つめ、そのような苦しみを阻止するために何を違うやり方でしなければならないのかを問う共通の責任があります。いつか証言する被爆者の声は私たちのもとからいなくなってしまうでしょう。しかし、1945年8月6日の朝のあの記憶を決して薄れさせてはいけません。その記憶は、私たちを油断と闘わせてくれます。その記憶は私たちの道徳的な想像をかき立てます。その記憶は私たちを変わらせてくれるのです。
And since that fateful day, we have made choices that give us hope. The United States and Japan*5 forged not only an alliance, but a friendship that has won far more for our people than we could ever claim through war. The nations of Europe built a Union that replaced battlefields with bonds of commerce and democracy. Oppressed peoples and nations won liberation. An international community established institutions and treaties that worked to avoid war and aspire to restrict and roll back, and ultimately eliminate the existence of nuclear weapons*6.
そしてあの重大な日から、私たちは自らに希望を与える選択をしてきました。アメリカ合衆国と日本は同盟を築いただけでなく、戦争が奪ったよりもはるかに多くの人たちの友情を得ました。ヨーロッパの国々は戦場を商業や民主主義の結び付きに置き換える連盟を築きました。抑圧されていた人々や国々は解放を勝ち取りました。国際的なコミュニティーは、戦争を防ぐと共に、核兵器を制限し、縮小し、そして最終的にはその存在を撲滅させることを願うための機関や条約を作りました。
Still, every act of aggression between nations; every act of terror and corruption and cruelty and oppression that we see around the world shows our work is never done. We may not be able to eliminate man’s capacity to do evil, so nations –- and the alliances that we’ve formed -– must possess the means to defend ourselves. But among those nations like my own that hold nuclear stockpiles, we must have the courage to escape the logic of fear, and pursue a world without them.
しかし、私たちが世界中で目にする国家間の攻撃行為、テロや不正行為、残酷で抑圧的な行為のすべては、私たちの仕事が決して終わっていないことを示しています。私たちが人間の悪事を成す力を取り除くことができないかもしれないため、国や、私たちが作った同盟国は、自らを守る手段を持たなければなりません。しかし私自身のような核保有国たちの間では、恐怖の論理から脱却し、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならないのです。
We may not realize this goal in my lifetime. But persistent effort can roll back the possibility of catastrophe. We can chart a course that leads to the destruction of these stockpiles. We can stop the spread to new nations, and secure deadly materials from fanatics.
私たちが生きている間にはこの目標を実現することができないかもしれません。しかし粘り強い努力は大惨事の可能性を後退させることができます。私たちはこれらの核兵器の破壊へと繋がる道を示すことができます。私たちは新しい国への拡散を防止し、致命的な物質を狂信者から守るわことができるのです。
And yet that is not enough. For we see around the world today how even the crudest rifles and barrel bombs can serve up violence on a terrible scale.*7 We must change our mindset about war itself –- to prevent conflict through diplomacy, and strive to end conflicts after they’ve begun; to see our growing interdependence as a cause for peaceful cooperation and not violent competition; to define our nations not by our capacity to destroy, but by what we build.
それでもこれで十分ではありません。なぜなら私たちは今日の世界で、粗雑なライフル銃やたる型の爆弾でさえ恐ろしい規模での暴力をもたらすことができることを目にするからです。私たちは、戦争そのものに対する考え方を変えなくてはなりません。外交を通じて対立を防ぎ、そして発生した後は終わらせるために努力し、私たちの相互依存の高まりを暴力的な対立ではなく平和的な協調のための理由とみなし、私たちの国を破壊する力ではなく築いたものによって定義するために。
And perhaps above all, we must reimagine our connection to one another as members of one human race. For this, too, is what makes our species unique. We’re not bound by genetic code to repeat the mistakes of the past. We can learn. We can choose. We can tell our children a different story –- one that describes a common humanity; one that makes war less likely and cruelty less easily accepted.
そしておそらく何よりも、私たちは同じ人類の一員としてのお互いのつながりを再想像しなくてはなりません。これもまた、私たちを特異な種族として特徴づけるものです。私たちは遺伝子情報によって過去の過ちを繰り返すよう運命づけられているのではないのです。私たちは学ぶことができます。私たちは選択することができます。私たちは自分の子供たちに別の物語ー共通の人間性を表す物語、戦争が起こりにくく残酷さが簡単に受け入れられにくい物語を語ることができるのです。
We see these stories in the hibakusha –- the woman who forgave a pilot who flew the plane that dropped the atomic bomb, because she recognized that what she really hated was war itself; the man who sought out families of Americans killed here, because he believed their loss was equal to his own.
私たちはこれらの物語を被爆者たちの物語に見ることができます。彼女が本当に憎んだのは戦争そのものだということに気づき、原子爆弾を落とした飛行機を操縦していたパイロットを許した女性、彼自身の喪失と同じだと信じ、ここで殺されたアメリカ人たちの家族を捜し出した男性の物語に。
(>下に続く)
<< 解説 >>
- 昔から戦争の原因となっている宗教についてここでも触れています。今の世界において最大の暴力行為を引き起こしているISにも、背後にはイスラム原理主義という宗教があり、宗教と紛争は切っても切り離せない関係にあります。
- ここで初めて出てきたアメリカと日本という二国の名前ですが、戦後の同盟関係を表わす文脈で使われました。
- この核兵器廃絶は、オバマ大統領が就任1年目から訴えたものです。2009年4月5日のプラハ演説では具体的な目標が示され、翌年にはロシアとの間で核弾頭数を制限する条約を調印しました。
- 現在の世界で私たちに恐怖を与えている多くのテロ行為は、核攻撃ではなく、単純な銃や爆弾によるものであることを示しています。